まず、冒頭の写真ですが現存するMk.I(上段)とMk.II(下段)をネットから拾った写真で並べて比較してみました。
多少の画角の違いはありますがほぼ正側面の写真をサイズあわせして並べたものです。
Mk.IとMk.II以降の外観上の相違はマーリンIIorIIIからマーリンXXに換装された事による機首の延長に見られます。延長部分はコックピット直前のフレーム(燃料タンクの部分)で約4.5inch(約114mm)延長されています。
(某日本の資料では18cmとの記述がありますが、1/72で2.5mmも差は無いと思うので114mm説で考察します。)
排気管後端と主翼前縁との距離感も違うのが見て取れると思います。
次の写真、
赤い矢印の間線分①を比べるとMk.IIのほうが長いのが解ります。

その分エンジン部分が前方に移動しています。
ちなみに機首先端(スピンナーのうしろ)から排気管後端までの青い線分②と③はおなじ長さです。
これにより
カウリング部分はMk.I Mk.II共にほぼ同じものだと推測できます。
以上を踏まえてハセのキットを見てみましょう。
キットは機首の燃料タンクからテールまでを共通部品として、カウリングをそれぞれの形式に合わせて部品化されています。

上がMk.I、下がMk.II
両者のカウリング部分、違いはMk.IIのほうにはオイルデフレクターリング(オイル漏れよけ)がモールドされているほかはほとんど同寸法です。
そう、ハセさんはこのオイル~のみで胴体上の差異を表現しているのみで、全長の差は考慮されていないんですね。
では、これらのキットはMk.I、Mk.IIどちらのタイプに近いのでしょう?
次の写真、キャノピー直下のパネルと件の延長部分を比べてみるとMk.Iではほぼ同寸法なのに対してMk.IIでは延長部分のほうが若干長くなっているのがわかります。

で、ハセのキットのモールドは

御覧のように延長部分のほうが長くなっています。
各部位とかフレーム間の寸法とか割り出せばもっとはっきりするんでしょうが、数値だけで判定するのは自分の流儀ではないのでここは全体のバランス重視という見地で結論付けると
このキットはMk.IIベースのキットである。といえそうです。
ということは
Mk.Iを作るにはコックピット前方の延長分を短縮する必要があります。
おもえば10年ほど前、ハセさんからリリースされた頃真っ先にMk.Iを作りました。
でもどことなくハリ本来のドンくささが無い。妙にかっこよく感じたのです。
機首上面先端のクリアランスバルジやジェネレーターの表現、機首の断面形などどれをとっても素晴らしい出来なのになぜかMk.Iに見えませんでした。
(われわれの世代には過去にエアフィックスの1/48MK.Iという傑作キットを体験してきたことも評価の基準になっているとは思いますが)
普段から模型を作る際に寸法を気にするタイプではありません。
デフォルメも大いに受け入れます。自分でデフォルメさえすることもあります。
メーカーだってミスもするでしょう。
かつてハセさんは72のムスタングをリリースしたときにB型の主脚収容口の開口部をミスリードしたときに金型を修正して出しましたよね?
でもあれはリサーチ及び設計段階のミスをユーザーから指摘されて修正したものだと聞き覚えています。
でもね、ハリの場合はなんか安易な商品展開のためにむりやりコンバーチブル化しているようにしか思えないのが残念なんです。
1/48版ではしっかり再現されてるのに!!他の部分にはほとんど破綻が無いのにこのコンパチ化のために本来のシルエットが変わってしまうことを意図的に無視しているような気がするんですよ。
ムスタングや零戦、はたまたメッサーやフォッケのコアなファンが同様のキットを手にしたときはもっと騒ぎが大きくなるでしょう?
書きたい放題で書きましたが、決して悪いキットではありません。たぶん
現行の72キットの中ではベストキットだと思います。
好きな機体だからこそ目に付いちゃうんですよ。
キット化されているだけでもありがたいんでしょうけど、かつてのモノグラムやエアフィックスのような
「ヒコーキ愛」があとすこし、欲しいだけなんですけどね。
以上、好きだからこそ云いたい岡戸のたわごとでした。おそまつさま┏○ペコ